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眠れるラプンツェル

Korinkunさんよりトラックバック
「紙婚式」以来はまってしまった 山本文緒さんの小説
今回通勤電車の中で読んでいたのは「眠れるラプンツェル」

主人公は結婚6年目の子供のいない専業主婦
隣の家に住む13歳の男の子を好きになるという 一見
なんだよコバルト文庫かよ?というようなストーリーだけれどとても良かった。
この小説にも主人公はもちろん不妊症でフラフラになってる近所の人が出てくる。
主人公はできるだけ何も考えずに平穏に過ごしたいと思っている主婦。
その主婦が少年を好きになったことで起こる様々な事件を通して
自分が本当は何故働かないか、何から逃げているのか、子供についての気持ちなどを
気付いていく。

これはまだ主人公が変わる前の1シーン。
「私は思わず聞き返す。夢、ときたか。まるでそれはテレビで見るスイートテンダイヤモンドの
コマーシャルのようだ。たまにいるのだ、そういうこと真顔で言ったり考えたりする人が。
努力には必ず褒美がついてくるものだと思っている人が。
『夢をかなえるためにはただ待っていたんじゃダメなのよ。どんな夢だって、やっぱりお金や
人生経験が必要でしょ。何かはじめなくっちゃ』
私は目の前の女が哀れに思えて仕方なかった。結婚10年目にはきっと、夫から10粒の
ダイヤモンドを貰えると信じているであろう女が。」
・・・これが左頬1発目
「佐藤さんはそれが分っていないし、またそんなこと認めたくないのだろう。
希望に燃え、上昇志向があり、自分だけが大変だと思っている。
きっと何を手に入れても満足することがないのだ。
諦めるということを知らないのだ」
・・・・これが右頬。

私は往復ビンタをくらった気持ちでこの小説を読んだ。

私は以前「モコ」という名前の巻き毛モルモットを飼っていた。
私はモコを不注意で死なせてしまった時 後悔の念で気が狂いそうになったし
本気で黒魔術のような本を探したりした。
そして最後に私は思った。「人にできないことは死んでいるものを蘇えらせることだけだ」
それ以外のことは 「生き返らせる」ことに比べればなんとでもなる気がした。
そしてそれがモコからのメッセージなのだと思っていた。
努力するように。努力さえすれば叶うのだ。と。
それを信条に私は自分なりにイロイロ頑張ってきたつもりだった。

そして その「努力すれば・・」を打ち破ったのが不妊だった。
私は 努力すれば・・ということを頼りに生きてきたので
この「努力したって前に進めない」という不妊治療には本当に困惑した。
私はもっと昔に「努力してもどうしようもないことがある」と諦める方法を
心が柔らかいうちに習得しとくべきだったのかもしれない。

今 大人になってから巡り合ってしまったこの「努力しても・・」に
私は持て余し、途方に暮れる毎日をおくっている。
by yurinekko | 2005-01-09 09:54 | 不妊


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